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糖尿病
Diabetes

糖尿病ってなに?

 

 人間の体は血糖が大体70-140mg/dlの間で保たれるように細かく調節されています。

人類600-700万年の歴史は飢餓との戦いであったため、飢餓状態でも出来るだけ血糖が下がりすぎないように進化してきました。しかしここ数十年、科学の進歩により飽食の時代を迎え、過食、運動不足などで血糖が上がりすぎてしまうという今まで人類が遭遇したことのない状況に直面しています。それに伴い糖尿病患者の数は飛躍的に増加し日本では糖尿病の患者数は950万人、予備軍を含めると2050万人といわれています。

 

 糖尿病は大きく分けると1型と2型の2種類があります。

1型糖尿病は稀で、多くは小児期に発症し、自分のインスリンが作り出せなくなってしまうので、それを補うためにインスリンの注射が必要となるタイプです。

一方、糖尿病の90%以上は2型糖尿病で遺伝的な体質に加え、食べ過ぎ運動不足により発症するいわゆる生活習慣病といわれているタイプです。

 

 

 

糖尿病になるとどんな症状がでてくるの?

 

 糖尿病は進行するまでほとんど症状がありません。

それだけに全く気がつかないうちに合併症が進行してしまっていることもあるので、人間ドッグや健診で血糖値をチェックをしておいた方が安心です。

 また血糖が400-500mg/dl以上に極端に上がってしまうと、だるさや1,2ヶ月で体重が10kg減るなど極端な

体重減少がみられたり、のどが渇いて、水分を多量に摂取し尿の量、回数が増えるといった症状が出現します。

 この状態で放っておくと、おう吐や意識消失により病院へ救急搬送されたり、場合によっては命にかかわる状態となることがありますので、このような症状が思い当る方は早めに病院を受診してください。

 

 

 

 

なんで糖尿病を放っておいてはいけないの?

 

 ほとんどの人が症状がないのになぜ糖尿病は治療が必要なのでしょうか。

 糖尿病で怖いのは合併症です。 糖尿病の合併症は自覚症状がないまま10-20年かけて少しずつ進行していきます。進行してしまった合併症は、その後血糖を良くしても、ほとんど元に戻ることはありません。そのため症状が出る前に血糖を良くして進行を食い止めることが重要です。

 

 糖尿病に特徴的な合併症は腎臓神経の合併症で、この3つが三大合併症といわれています。

 

 目(糖尿病網膜症):進行すると眼の奥の眼底で出血を起こしてしまい失明の原因になります。

           年間約3000人の方が糖尿病の為に失明してしまっています。

 腎臓(糖尿病性腎症):進行すると体内の毒素を排泄できなくなるため生命を維持するために

           人工透析が必要になります。

 神経(糖尿病神経障害):進行すると足が壊疽して足を切断する必要がでてきたり

           立ちくらみ、EDといった症状が出てきます。

 

 また糖尿病では動脈硬化が進んでしまうので、心筋梗塞狭心症脳卒中といった大きい血管の障害も起こりやすくなります。特に2型糖尿病の方では、高血圧、脂質異常症など他の生活習慣病を併発しているケースが多くみられます。これらの病気が重なると、大血管障害(脳梗塞、心筋梗塞など)が発症するリスクが跳ね上がるため糖、血圧、コレステロールを総合的に治療していくことが重要になってきます。

 

 

 

 

 

 

 

糖尿病をよくするには

  

 糖尿病の治療は食事療法運動療法といった生活習慣の改善が基本になります。

近年2型糖尿病の治療は様々な新薬が出てきてはいますが、食事、運動療法が疎かなままでは血糖を良好に

コントロールすることはできないので、生活習慣の改善は非常に重要です。

 

 

 ☆食事療法のコツ

  

  適正な食事摂取量を守る。

     適正量は身長や運動量、また合併症の進行具合などによって異なります。

    自分にとって適正な量の食事をとることが大事です。

   (ご自身にとっての適正がどれくらいかは主治医に相談してみてください。)

  

  間食を我慢する。

     糖尿病の人は食事すると血糖が大きく上昇しまい、数時間かけて何とか正常範囲まで戻ってきます。

    しかし間食をすると血糖が下がり切る前にまた大きく上昇してしまいます。

    さらに間食によって上がってしまった血糖が下がり切る前に次の食事の時間になってしまうので、

    血糖の高い状態がずっと続いてしまいます。

     どうしても空腹が我慢できず、間食したいときはところてんこんにゃくなどのカロリーの少ない

    ものにしましょう。また、スイーツが食べたいときは食事と一緒の時間に食べるようにしましょう。

 

  まず野菜から食べる。

     野菜から食べると食物繊維により腸管での吸収がゆっくりになる為、一気に血糖が上がるのを

    抑えてくれます。またゆっくりかんで食べることも血糖が一気に上がりにくくなるので有用です。

 

 

 ☆運動療法

   

   ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動が基本です。1日30分できると脂肪が燃焼でき

  血糖が下がりやすい体質に変わっていきます。

   仕事などでいそがしく、運動の為に時間を割くことが難しい方でも、エスカレーターではなく

  出来るだけ階段をつかうなど生活の中で動く習慣をつけることで効果がみられます。

  万歩計をつけておくと数値で運動量がわかるためモチベーションが保ちやすくなります。

  1日10000歩が目標ですが10000歩なら100点、6000歩なら60点と考え平均点を上げていく

  ことが運動量の増加につながります。

 

 

 ☆薬物療法

   大きく分けて内服薬と注射薬の2種類あります。

 

  内服薬:インスリンの分泌を促す薬や、インスリンを効きやすくする薬、また糖の吸収を遅らせたり

      余分な糖を尿から排泄させる薬などあり、これらを組み合わせて血糖を調節します。

 

  注射薬:インスリン製剤と自分のインスリンを分泌させるための薬とがあります。

      以前は注射薬は最終手段といった使い方が多かったですが、現在では膵臓の機能を温存させる為に

      比較的早期から注射薬を使用するのが一般的です。

 

 

 

 

 

 

*低血糖に注意

  糖尿病の内服薬や注射薬を使用している人ではその日の食事量、運動量によって血糖が

 下がりすぎてしまうことがあります。

 低血糖になると冷汗、ふるえ、動悸などの症状があらわれ更に低下すると意識が消失して

 しまうこともあります。

  このような症状がでたらブドウ糖や糖分の多いジュースなどをすぐに口にしてください。

 低血糖が頻回に起こるようでしたら薬剤の調節が必要になりますので主治医に相談してください。

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